喉頭のしくみ:声帯を囲む軟骨と筋肉
声は、首の前にある「喉頭(こうとう)」の中で生まれます。喉頭は、いくつかの軟骨が関節でつながった小さな箱のようなものです。その中に左右一対の声帯が張られていて、まわりの筋肉が声帯を開け閉めしたり、引き伸ばしたりしています。

この記事では、喉頭をつくる軟骨と筋肉を、ボイストレーニングで必要になる範囲にしぼって説明します。声帯3Dシミュレーター「Larynx Simulator」 で部品をタップすると、同じ名前と説明が出ます。
喉頭をつくる軟骨
| 名前 | 形と場所 | 声との関係 |
|---|---|---|
| 甲状軟骨 | 左右2枚の板が前でくっついた形。いちばん大きい | 声帯の前の端がこの内側に付く。前の出っぱりが喉仏 |
| 輪状軟骨 | 甲状軟骨の下にある指輪の形。前が細く、後ろが高い板 | 喉頭の土台。甲状軟骨や披裂軟骨と関節でつながる |
| 披裂軟骨 | 輪状軟骨の後ろの上に乗る、左右一対の小さな三角すい | 声帯の後ろの端が付く。回ったり寄ったりして声帯を開け閉めする |
| 喉頭蓋 | 喉頭の上にある木の葉の形のふた | 飲み込むときに気管にふたをする。声帯より上にある |

喉頭の上には舌骨(ぜっこつ)というU字の骨があります。舌骨はほかの骨とつながっておらず、筋肉でつり下げられています。
喉仏は甲状軟骨の角
首の前で触れる喉仏は、甲状軟骨の2枚の板が合わさった角です。男性は板の角度が鋭いので、前に出っぱって見えます。声帯の前の端は、この角のすぐ裏に付いています。喉仏に軽く指を当てて声を出すと、その奥で声帯が振動していることになります。

声帯はどこに張られているか
声帯は、前は甲状軟骨の内側、後ろは披裂軟骨の「声帯突起」という出っぱりに付いています。上から見ると、前でくっついたV字の形です。

- 息を吸うときは、披裂軟骨が外へ回って、V字が大きく開きます
- 声を出すときは、披裂軟骨が内へ寄って、左右の声帯が閉じます
- 閉じた声帯の間を息が通ると、声帯が振動して音になります
Larynx Simulator の「声帯アップ」で「息を吸う」を選ぶと、V字に開いた形を上から見られます。
声帯を動かす5つの筋肉
喉頭の中には、声帯を動かす小さな筋肉があります。働きで分けると3つのグループになります。

| グループ | 筋肉 | 働き |
|---|---|---|
| 伸ばす | 輪状甲状筋(CT) | 甲状軟骨を前に傾けて、声帯を前後に引き伸ばす |
| 縮める・厚くする | 甲状披裂筋(TA) | 声帯の中にあり、縮むと声帯が短く厚くなる |
| 閉じる | 外側輪状披裂筋(LCA)、披裂筋(IA) | 披裂軟骨を内へ回したり寄せたりして、声帯を閉じる |
| 開く | 後輪状披裂筋(PCA) | 披裂軟骨を外へ回して、声帯を開く。開く筋肉はこれだけ |
声の高さに直接かかわるのは、伸ばすCTと、縮めるTAです。この2つの関係は「高い声が出るしくみ」でくわしく説明します。
閉じる筋肉は、声を出している間ずっと働いています。閉じ方が弱いと息が漏れた声に、強すぎると押しつけた苦しい声になります。
喉頭を外から支える筋肉
喉頭は、首の中で上下に動きます。その位置を決めているのが、喉頭の外にある筋肉です。

- 胸骨甲状筋:胸骨から甲状軟骨へ。喉頭を下に引く
- 甲状舌骨筋:甲状軟骨から舌骨へ。喉頭を舌骨のほうへ引き上げる
- 胸骨舌骨筋:胸骨から舌骨へ。舌骨を下に引く
レッスンでよく出る「喉が上がる」「喉を下げる」は、主にこの筋肉の働きです。Larynx Simulator では「外の筋肉」ボタンで表示できます。歌との関係は「喉を下げる感覚と輪状甲状筋」で扱います。
3Dモデルで確かめるときのコツ
- 「横」から見ると、甲状軟骨と輪状軟骨の位置関係がいちばんわかりやすい
- 「後ろ」から見ると、披裂軟骨と、開く筋肉(PCA)が見える
- 「名前」をオンにしておくと、前後・上下の向きと部品の名前が出る
このモデルの筋肉の動きは、一般的な説明をもとにした目安です。実際の動きは人によって違います。
声帯3Dシミュレーターで確かめる(Larynx Simulator)